スプリアス退治
自作スペアナで、約500MHz下に出るスプリアスについてその後、あれこれ考えていました。
発生原因として2つの原因が考えられました。一つは、たとえば800MHzの信号を入力したとき1stLOが1850MHzのときディスプレイ上に現れます。
入力信号の2倍高調波1600MHzにたいしては2650MHzの1stLOがあれば現れます。
しかし2650MHzは現実にはありませんが、1325MHzの高調波であれば存在します。この1325MHzの1stLOは、実際には275MHzの信号のときの
周波数になります。これが800−275=525MHzとなりスプリアスとなって表示されるのではと考えました。
そこで、ローパスフィルタを入れて第2高調波を減衰させてみましたがスプリアスの強度は変化しません。
二つめに考えられるのは、上記の周波数関係で考えたとき1stLoが1325MHzのときに800MHzの信号とMIXされて525MHzが生成されます。
このままだと1050MHzのBPFで阻止されて問題になりませんが、ここでIMDの関係で1050MHzが作られるとスプリアスとなって現れるのではということです。
実際にスプリアスをよくみてみると、主信号が10db下がると20db位さがります。これが原因とすると対策の打ちようがありません。
あるとすると、性能の良いMIXを購入するしかないということになります。
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左図は、800MHz 0dbmの信号を入力したときです。 525MHz下の275MHzにスプリアスが出ています。 ここで上で考えた2番目の原因について追求してみます。 |
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左側は、自作スペアナを FO=275MHz SPAN=0 にした時のLOの出力です。(1325MHz) 右側は、2GHzのLPFを通した後です。 |
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MIXに 800MHz 0dbmの信号を入力したときです。 スペアナのLOの高調波に関係なく1050MHz の出力があります。 CENTER 900MHz SPAN 1800MHz |
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800MHz −10dbmの信号を入力したときです。 800MHzと本来の合成波525MHzの信号は−10dbさがっているのに対して1050MHzの信号は約−20db下がっています。 |
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800MHz −20dbmの信号を入力したときです。 800MHzと本来の合成波525MHzの信号は−20dbさがっているのに対して1050MHzの信号はノイズフォロア以下になっています。(このときのノイズフロア約−73dbm) |
このことから、このDBMの入力に−20dbm以下の信号しか入力しないようにすれば、525MHz下のスプリアス表示から逃げられるのではと思います。
ここで問題になるのは、入力にATTを入れて信号レベルを下げるのはいいのですが、その後でその分増幅してやらないと最終的に希望するダイナミックレンジが確保できないということになります。
しかし、安易に増幅するとその分ノイズも増幅されノイズフロアの上昇となって現れ、ダイナミックレンジが減少します。
実際この方法で実験してみましたが、ノイズフロアが上昇してしまいました。
そこで次に考えた方法は、スイープの途中で入力のLPFを切り替えるというものです。
上の周波数関係で考えると、LOが1325MHzのとき800MHzの信号の影響でスプリアスが出るのでこの時500MHzのLPFにすれば800MHzの影響は少なくなり
スプリアスは形成されないのではというものです。
そこで500MHzと1000MHzのLPFを、DDSを制御するATmega48から信号をだして1stLOが1550MHz(500MHz)の時に切り替えるようにしてみます。
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作ったLPFです。 上側が、1000MHzLPF 下側が、500MHzLPF です。 切り替えには、ダイオードSWを使っています。 ここでのひずみが気になりましたが、実際ここを通るのは0dbm以下なので問題ないようです。 (実際にはやはり影響がありましたので、HighPower PinDiode MA4P7104-401が入手できたのでそれを使っています。主信号のレベルには影響ありませんが第2,第3高調波の表示が実際より大きく表示されます) |
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600MHz 0dbm スプリアスが若干残っています。 これは、今回作った500MhzのLPFのキレがあまりよくないためです。 |
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700MHz 0dbm |
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800MHz 0dbm |
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900Mhz 0dbm |
どうやら、スプリアスを退治することが出来ました。