ループフィルタの違いによりどの程度特性に差がでるのか実験してみました。
使用したVCOはPOS−535です。
発振周波数 280MHz〜580MHz(Kv=17Mhz/V)
使用PLLIC ADF4117(レファレンス13Mhz)
使用OPAMP LT1056(電源は、18Vの単電源で使用)
測定周波数 300MHz
ループフィルタの定数の算出にあたっては、Applied Radio Labs(http://www.radio-labs.com)のPLL設計ツールADISimPLL
をダウンロードして使用しました。
これは、アナデバのADF4117のページの右横にある設計支援をクリックするとダウンロードするページが開き、そこからダウンロード
出来ます。
POS−535のカタログデータは
SPAN=10K
-75dbc/1Khz |
SPAN=100K -95dbc/10Khz |
SPAN=1M
-116dbc/100Khz |
となっています。
位相ノイズの算出には、
RF Design NoteのHP内のRF 設計ツールの中の「SSB位相雑音の[dbc/hz]換算」を利用させていただきました。
参考までに、HB8657Bのスペクトルです。
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SPAN=10K
-102.4dbc/1Khz |
SPAN=100K -104.9dbc/10Khz |
SPAN=1M
-122.6dbc/100Khz |
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No.1 |
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SPAN=10K
-68.6dbc/1Khz |
SPAN=100K -96.9dbc/10Khz |
SPAN=1M
-114.6dbc/100Khz |
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No.2 |
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SPAN=10K
-67.6dbc/1Khz |
SPAN=100K -89.6dbc/10Khz |
SPAN=1M
-107.5dbc/100Khz |
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No.3 |
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SPAN=10K
-62.7dbc/1Khz |
SPAN=100K -93.1dbc/10Khz |
SPAN=1M
-116.3dbc/100Khz |
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No.4 |
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SPAN=10K
-69.3dbc/1Khz |
SPAN=100K -97.1dbc/10Khz |
SPAN=1M
-119.1dbc/100Khz |
以上の4タイプの中では、No.4の特性が一番いいようです。(レファレンスのリークもありません)
CQ出版社の「PLL回路の設計と応用」の中にあるPOS−200を使ったPLL回路の製作例によると1Khzオフセットで−68dbc、10Khzオフセットで
−100dbcとなっています(F=200MHz)。
出力周波数が100MHz高いことを考慮すると上記のNo.4の値はPOS−535を使用したものとしては妥当ではないかと思われます。
次に、OPアンプを変えた場合の様子です。
No.4の回路を使ってSPAN=10Khzで見てみました。
使ったOPアンプは手持ちのあった
uPC741,OP07,LF356,TL081です。
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SPAN=10KHz |
SPAN=100KHz |
SPAN=1MHz |
LF356 |
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-69.7dbc/1KHz |
-97.2dbc/10KHz |
-119.3dbc/100KHz |
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UPC741 |
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-62.1dbc/1KHz |
-91.9dbc/10KHz |
-119.0dbc/100KHz |
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TL081 |
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--67.8dbc/1KHz |
-95.6dbc/10KHz |
-118.2dbc/100KHz |
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OP07 |
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-72.6dbc/1KHz |
-96.0dbc/10KHz |
-119.0dbc/100KHz |
この実験中では、OP07が一番いい特性を出しています。
その後、ループフィルタを若干変更しました。
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No.5 この回路にした場合 LT1056 LT081 OP07 の3種類については特性にほとんど差が見られなくなりました。 |
OP07 |
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-74.3dbc/1KHz |
-98.2dbc/10KHz |
-119.4dbc/100KHz |
OP07は手持ちが8個ありましたので、交換してみたところ1KHzオフセットで−56dbc〜−58.7dbcの間に入りました。
極端に違う値を示すものはありませんでした。
今回の実験では、設計ツールで算出した定数をそのまま使っています。
No.5で少し変えてみましたが、驚くような改善は見られませんでした.適正なデバイスで適正な設計をすればほとんど作りっぱなしでもそれなりの性能は
出せそうです。
より良い回路とOPアンプの組み合わせはあると思いますが、今後の課題です。