ラダー型Xtalフィルタ

 

ラダーフィルタの実験をしている途中で、水晶をパラにすると特性が変わることに気づきました。

 

両側の水晶のみパラにしました。

中の水晶をパラにすると特性がみだれました。

 

 

Cは、両端が12P中が24Pで帯域幅約5Khzのルーフィングフィルタです。

 

水晶をパラにしないときの特性です。

左端の水晶のみパラにしてみました。

両側の水晶をパラにしました。

 

ノーマルの時の挿入損失は、−17dbで両端の水晶をパラにしたときはー15dbで2dbロスが減りました。

帯域幅は、6.16Khzと1.24khz増加し山の平坦な部分がひろがりました。

 

Cを、18Pと10Pに替えてみました。

 

ノーマルの特性です。

両側の水晶をパラにしたときです。

広い範囲の様子です。

 

帯域幅は、1.6Khz増加してロスは1db減少しています。帯域内のあばれが無くなり平坦な部分がひろがっています。

インピーダンスマッチングは、とっていません。

 

3素子の場合も同様な結果になりました。(C=18P,10P)

 

元の特性です。

両端をパラにしました。

広い範囲です。

 

こちらもロスは1db改善され、帯域幅は約3.3Khz広がり山の平坦な部分が広がりました。

ルーフィングフィルタにはいい特性ではないでしょうか。

 

Xtalを、パラ接続したときのIMDの変化です。

今回実験用に組み立てたフィルタは、10.695Mhzの水晶の4段でCは、両端が27PF・中が56PFです。

シングルの時が帯域幅6.3Khz、パラの時が7Khzくらいのフィルタです。

マッチングは取っていませんのでかなりあばれがありますがIMDの動向は分かってもらえると思います。

 

左側がシングルです。

右側が両端の水晶をパラにしたときです。

 

2信号の入力レベルは+5dbmです。

 

パラにしたときが、あきらかにIMDが良くなっています。

 

耐入力の点からもパラ接続は有効ではないかと思います。

 

 

2009.06.06

ラダーフィルタの高IIP3化の検討

ルーフィングフィルタの高IIP3化について検討してみます。

まずは、パラ接続についてもう一度確かめてみます。

水晶は、71.5575MHz(3rdOT) C=33P 3素子で実験してみます。(今回は、すべての水晶をパラ接続します)

 

 

シングルの時の特性です。

 

6dbBW=2.83KHz

損失 −7.67db

 

 

 

2パラ

 

6dbBW=4.58KHz

損失 −4.33db

 

周波数が高い方向に帯域が広がっています。

 

薄い軌跡 2パラ

濃い軌跡 シングル

 

 

 

3パラ

 

6dbBW=6.08KHz

損失 −3.17db

 

薄い軌跡 3パラ

濃い軌跡 2パラ

 

 

 

 

4パラ

 

6dbBW=7.17KHz

損失 −2.67db

 

薄い軌跡 4パラ

濃い軌跡 3パラ

 

 

 

 

5パラ

 

6dbBW=8.17KHz

損失 −2.3db

 

薄い軌跡 5パラ

濃い軌跡 4パラ

 

今回の実験にあたり、水晶は選別していません。

入出力のマッチングもしていません。

 

予想通り、パラ数を増やしていくと損失は減少し

帯域幅は拡大しました。

 

パラ数を増やしていくと低域での減衰量が減少しました。

 

帯域は高い周波数方向に拡大していきます。

 

 

次にINBANDのIM3です。

 

 

シングル

 

入力は、500Hz離れの2信号(-10dbm)

損失 −7.67db

IM3=−49.5dbm

 

入力を1db下げると、IM3は1.5db下がります。

 

 

 

 

2パラ

 

損失−4.3db

IM3=−56dbm

 

 

 

3パラ

 

損失 −3.17db

IM3=−57.8dbm

 

 

 

4パラ

 

損失 −2.67db

IM3=−61.8dbm

 

 

 

5パラ

 

損失 −2.3db

IM3=−57.8dbm

 

4パラよりIM3が悪化しています。

過ぎたるは及ばざるが如し でしょうか。

 

シングル〜5パラまで、すべての場合で

入力を1db下げるとIM3は1.5〜2db下がります。

きっちり3dbの変化にならないのでIIP3をどのように算出する

のか難しい問題ですが、パラ接続することによってIM3の出方が

改善されるのでBAND内のIM3に対してはパラ接続が有効では

ないかと思われます。

 

 

次に帯域外の2信号によるINBAND内IM3の様子です。

 

20KHz離れの2信号により形成されるIM3成分が

フィルタの中心にくるように設定します。

 

−10dbm離れの2信号です。

 

 

 

シングル

 

IM3=−83dbm

 

入力信号が−10dbmでは、IM3の出方が少ないので

0dbm入力としました。

(以降 同)

 

 

 

2パラ

 

IM3=−76dbm

 

 

 

3パラ

 

IM3=−76dbm

 

 

 

4パラ

 

IM3=−80dbm

 

 

 

5パラ

 

IM3=−80dbm

 

これからみると、フィルタの低域外に2信号を持って来ているので

パラ数が多くなると減衰量が少なくなりフィルタに入る信号も強く

なりIM3が悪化しています。

 

パラにすることによるIM3の改善と入力の増大によるIM3の悪化

が打ち消しあってIM3の出方はほとんど変らないということに

なりました。

 

入力側の減衰特性を改善出来れば、パラ接続の効果が発揮出来

そうです。

 

 

 

そこで、2パラのときに2信号を高いほうにとってみたのが

左の特性です。

 

IM3は観測できません。

IM3<−95dbm以下

 

こうしてみると帯域外の2信号によるBAND内のIM3はフィルタ

の減衰特性によるようです。

 

左右対称のきれいな特性のフィルタがいいようです。

 

こしてみると、BAND内のIM3にはパラ接続がある程度有効な

ようですが、BAND外の信号に対してはフィルタの減衰特性が

問題になるようです。

 

 

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