スペアナがあると、欲しくなるTG(Tracking Generator)を作ることにします。
TGを作るときに、一番問題になるのが1stLoのスルーです。
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TGの原理図です。 スペアナの1stLOの出力を1.05GHzの信号と MIXして0〜1GHzの信号を取り出す物ですがここで 一番問題になるのが1.05GHzの信号がMIXを通っ てスペアナに入り込むことです。 入り込むと、スペアナの1stIFが1.05GHzなの で入り込んだ信号でノイズフロアが上昇しダイナッミク レンジが狭くなります。 |
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アイソレーションを、なにも入れないで1stLOの出力をMIXにつないだときです。 ノイズフロアが上昇しています。 MIX RMS−30 Lo HP8657B 1.05GHz +7dbm |
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手持ちのアイソレーションを1段入れたところです。 少しさがりましたが、十分ではありません。 |
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手持ちのアイソレーションの特性です。 マーカーが1.05GHzですからその上が使う範囲になります。 上の線が、順方向 下の線が逆方向になります。 高い周波数では25db強アイソレーションがありますがこれぐらいでは十分ではありません。 これに見合うアイソレーションは、入手困難ですしもし入手できるとしてもかなり高額になると思われます。 |
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使ったアイソレーションです。 以前ジャンクSHOPで詳細不明として入手したものです。 |
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左が、順方向 右が逆方向の特性です。 2GHz付近で使うものではと思われます。 今回は、このアイソレーションを少し改造して上の特性のようにして使っています。 |
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そこで今回作ってみたのが、このアイソレーションアンプです。 考え方は、広帯域のMMCIC uPC2708.uPC2709を使って広帯域増幅器を作りその前後にATTを入れて全体としてゲインは無くてもATTの力でアイソレーションを確保しようというものです。 ICのゲインは約15dbと20dbありますのでトータルで35dbのゲインになります。その間に合計50dbのATTを入れていますが通り抜けがあるため全体としては約5dbのゲインがあります。 |
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このアンプの全体の特性です。 (TG Lebel=−30dbm) |
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逆方向の特性です。 (TG Lebel=−10dbm) 約65dbのアイソレーションがあります。 |
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このアイソレーションアンプを通してみたところノイズフロアの上昇はなくなりました。 |
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TG出力を直接スペアナの入力につないだところです。 かなり暴れがあります。(SPAN=1GHz)
暴れている原因はわかりませんが、ALCアンプを検討してみることにします。 |
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スペアナを作る時に、RBWのフィルタとして実験したBW=1MHzのフィルタをみてみました。 センター周波数=50MHz スパン=100MHz RBW=200KHz
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2008.01.06
その後、いろいろデータを集積した結果暴れがあるのはTGが悪いのではなくスペアナ本体の周波数特性が悪いためだと判りました。
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左は、0−100MHzのTG出力を、自作スペアナでみたものです。 45MHz付近にくぼみがあります。 右は、少し見づらいですが、SGから0dbmの信号を1MHz間隔で入力しスペアナのピークをトレースしたものです。 左のTGのトレースと一致しています。 |
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フルスパンの様子です。 こちらも、ほぼ一致しています。 |
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上の条件のときのTGの出力をR3131AのMAXHOLD機能を使ってみたものです。 45MHz付近のくぼみはありません。 どうやら、スペアナの最初のUNITに問題がありそうです。 対策としては、作り替えてみるつもりです。 (いろいろ思い当たるふしがあります) |
結局、原因としては1stLOのミキサーの実装に問題がありました。
作ったミキサーを、シャーシに止めるために片面のプリント基板にハンダ付けしてそれをケースにネジ止めしていました。
これで、片面のプリント基板とシャーシの間に結合容量が発生したのが原因ではないかと考え作り直したところ暴れはなくなりました。
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挿入した、rejection filterの特性です。 (TG レベル 0dbm) |
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挿入した、rejection filterです。 8mm程度の、抵抗のリード線の切れ端を半円形にまるめて10pFのトリマと並列に接続してそれを3段重ねています。 この調整は、かなり難しくスペアナ+TGがないとかなり厳しいです。 矛盾した話ですが、スペアナとかTGを作るにはスペアナ+TGが必需品です。 |
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これは、1050MHzのLO信号をrejection filterを通してスペアナの入力につないだときのフロアレベルの上昇の様子です。 若干盛り上がりはありますが、問題にならない範囲ではないかと思っています。 |
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最終的な、0−1Ghzの間の様子です。 全体で±1.5db(3db)以内に入っています。 |
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これは、0−500MHzの間の様子です。 ほぼフラットの特性が得られています。 |
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これは、自作の500MhzのLPFの特性です。 R3131Aと比較してもほぼ同じ特性が出ています。 |
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こちらは、TR4172で同じLPFの特性を見た物です。 十分実用になる物が出来たのではと思っています。 |
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このスペアナ用に作った RBW=10KHzのフィルタの特性をみてみました。 SPN=120KHz RBW=1KHz 中心周波数は、DDSの基準周波数がずれているため少し狂っています。 |
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ほぼ完成した、TGの内部です。 左上が、アイソレーションアンプ その右が、DBM その右が、rejection filter 下に横になっているのが、出力アンプです。 最終的には、0dbmの出力があります。 |
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裏側です。 左の黒い蓋の部分が、1050MHzのPLL LOです。 下の真中にあるのが、PLLの基準信号源となる10MHzのVXOです。 ここでPLL出力を変化させて、トラッキング調整をしています。 これに後、出力調整用のATTを付けてケースに収納して完成となる予定です。 |