HP8561E 2009.02.28

 

 

この度、TR4172を放出してHP8561Eを入手しました。

作業部屋が手狭になってきたため、思い切って入れ替えました。

 

最近は、世界的な不景気の影響かヤフオクの世界でも以前では

考えられないような値段で落札出来ました。

 

商品説明では、「SELFTESTはPASSします」とありましたが

その他は、通電確認のみですとのことです。

 

やってきた8561Eを、ざっといじってみたところ電気的なものは

問題なさそうでしたが、キーSWのSTEP UP/DN 10キーの

0、・、1、2、3 が全く反応しません。その他にも接触の悪いキー

が少しあります。

 

参ったなと思い、あちこちに問い合わせてみたところキーのクリー

ニングをしても直るかどうか判りませんという返事で金額も5万円

くらいとのことでした。

 

 

あちこちのキーを押しまくっていると、どうもキータッチはそんなに悪くなさそうなのでキー自体は悪くなく接触不良を起こしているのではと思い出しました。

そこで根気よくPUSHを繰り返しているとそのうちに時々反応するようになってきました。

 

その後、だんだんと回復してきて現在ではすべてのキーが普通に入力できるようになってきました。

 

 

CAL信号 300MHz −10dbm

 

SPAN=50KHz RBW=300Hz

レベルもよく合っています。

 

 

 

SPAN=100Hz RBW=1Hz

 

RBW=1Hzでも問題無く表示しています。

 

中心周波数がずれていますが、まだCALの使い方が完全には

判っていないのでそのうちに合わせたいと思います。

 

最初の性能はどうなのか、判りませんが経年変化による部品の

劣化で少しノイズぽっくなっているように感じます。

 

1989年製造とありますので、製造後20年経っていることになり

しかたないのではと思います。

 

 

 

これを入手するにあたっては、「TR4172」を放出することにしたのでTGが無くなります。(自作スペアナのTGがあるにはあるのですが・・侠帯域のXFは無理)

ということで、1stLOの出力があるのでTGを自作することにしました。

 

マニュアルから抜粋した、TGのブロック図です。

 

2ndLO出力もあれば申し分ないのですが(OPにも無し)無い

のでしかたありません。

 

左図のとおりにつくってもいいのですが、ようは3.9017GHzの

信号でトラッキングADJ用に少し周波数が可変出来ればいいと

いうことになります。

 

 

 

 

最初に、AD9851を使って45.535MHzを作りそれを4逓倍

182.14MHzを作りました。

 

AVRには「ATtiny2313」を使っているのですが、昔BASCOM

のデモ版を使って作ったプログラムななので周波数は1Hz単位

でしか可変出来ません。このままでは、4逓倍・5逓倍するとDDS

での1Hzが20Hz動くことになります。

これでは、トラッキングADJ出来ないと悩んでいましたら、

JR1PWZ清水さんの助言で1Hz以下も設定出来るということに

気づきました。

 

昔は、メモリの関係で実数が使えず整数だけでプログラムして

いたのですが、現在では正規版を入手しているのでメモリの大き

いAVRを使えば問題無く出来そうです。

 

プログラムを書き換えるのか、このまま使って逓倍方式ではなく

MIX方式で作るか悩んでいます。

 

 

 

DDSのクロックは、CAL(300MHz)をTD7104で1/2して

150MHzを取り出してAD9851に入れています。

(内部の6逓倍回路は使っていません)

 

発振周波数はクロックの1/3くらいなのでスプリアスがかなり

ありますがTGに関しては問題にならないはずです。

 

 

 

SPAN=5KHz

RBW=30Hz

での様子です。

 

 

 

 

MIX方式で作る場合のブロック図です。

 

990MHzのVCO−PLLは

300MHzのCALを1/64して4.6875MHzを作りこれを1/10

して468.75KHzを作りこれと990MHzのVCOを1/2112

したものをPLLしています。

PLLデバイスにはADF4117を使っています。

 

 

2009.03.05

ミニサーキットに注文していた部品が届きました。

 

これは、MIXの「SIM−83+」です。

 

写真の1目盛りは5mmなのでかなり小さいものです。

しかしAD995×シリーズの実装に比べれば楽なものです。

 

このデバイスの性能は、

RF/IF 2.3G−8G

IF    DC−3G

変換損失 約8db

というものです。

 

これ以外に、AMPとして

「GARI−2+」「GARI−39+」

ATTとして

「PAT−8」「PAT−12」

を入手しました。

 

 

 

 

スペアナの1stLO用のアイソレーションAMPのブロック図です。

 

全体として、GAIN −10db

        BACK Isoration 55db

ということになりました。

 

 

 

HP8561Eの1stLO出力を作ったAMPに入力し、その出力

をR3267のMAXHOLD機能を使ってみたものです。

 

使ったデバイスのデータシートから数値を読むと

 

3.9GHzに対して6.8GHzでは

GALI−39  −1.0db

GALI−2   +0.6db

PAT−12   −1.0db

PAT−8    −1.0db

計        −2.4db

なのですが、実際は−15dbくらい下がっています。

 

ここらへんは、実装の問題だと思われます。

使っている基盤は、ガラエポFR−4の1.6mm両面基盤

です。高い周波数ではロスが大きいのではと思います。

 

 

 

作った基盤です。

 

エッチングではなく、カッターナイフでランドを切り出す方法

で作りました。

 

 

 

部品を実装したものです。

 

スルーホールは、リード線の切れ端を使っています。

裏側のハンダ付け部分はヤスリで極力平らになるように

していますが完全ではありません。

 

 

 

最後にアルミ板で作ったBOXに入れています。

 

基盤のスルーホール処理のハンダをヤスリで極力平らに

しようとしたのですがうまく出来ずに、アルミBOXの

底との間がぴったりついているとはいえない状況ですの

でここらへんも特性悪化に影響していると思います。

 

 

2.9GHzフルバンドでは、難しいのですが当方がよく使う

であろう1GHz以下ではほぼフラットな特性になっているの

でこのまま進めることにします。

左図でマーカーは1.2Ghzに相当します。

 

今後、高い周波数で使える基盤が入手出来たらその時に

性能UPを考えることにします。

 

 

 

2009.04.02

MIX方式で進めています。

 

上段の真中は、以前スペアナを作ったときに採用しなかった

1GHzのVCO基板を流用して、VCOをMQC309−888に

交換しなおかつ内部を改造して990MHzになるようにして

います。

 

PLLの周波数関係は、CALをuPB1507GVを使って1/64

して4.6875MHzを取り出しADF4117に入れてさらに

1/10して468.75KHzを作り、990MHzを1/2112した

468.75KHzと比較しています。

 

その後ダイオードトリプラを使って2.97GHzを作っています。

(基板に付いているサブ基板部分)

 

左上は、3セクションのキャビティ(fo=2.97GHz)

その下がGALI−55を使ったAMPでMIXはここで作る

3.9107GHzと8561Eの1stLOをMIXするためのものです

が本来ここで使う予定のものがまだ入手できていないので

仮に使っています。

 

右下が下で紹介する940MHzのBPFです。

 

 

 

 

 

 

940.7MHz

 

以前作っていたものを改造しています。

 

CAL(300MHz)の1/2の150MHzをレファレンスにした

AD9851により40.7MHzを発生。

 

CALをトリプラして900MHzを作りMIXして940.7MHzを

作り出しています。

 

トリプラには、トロイダルコア活用百科の中にあるダイオード

トリプラを使ってみました。

 

 

 

 

900MHzと40.7MHzをMIXした後の様子です。

 

 

 

 

その後に、マキ電機のキャビティをまねて両面基板と銅版を

丸めた共振棒を使って作った3セクションのBPFを通して

みます。

 

 

上のBPFの特性です。

 

CF=500MHz

SPAN=1GHz

 

挿入損失 約−10dbm

 

少し損失が大きいのがきになりますが・・

 

 

 

BPFを通した後の様子です。

 

まあ、なんとかなるでしょう。

 

 

 

VCO−PLLで作った0.99GHzをダイオードトリプラを

使って作った2.97GHzです。

 

あまりよくは判らないのですが、ダブラの1.98GHzよりは

トリプラ2.97GHzの出力が大きくなっておりダイオード

トリプラの特徴が良く出ています。

 

 

 

BPFを通したあと「GARI−55」で1段増幅したあとです。

 

もう少し出力が欲しいのですが、このまま使ってみます。

 

 

 

940.7MHzと2.97GHzをMIXして作った

3.9107GHzの信号です。

 

 

 

940.7MHzと2.97GHzをMIXして最終目的周波数の

3.9107GHzを作った後のBPFとAMPです。

 

ICはGALI−2とGALI55を使いパターンで作ったBPF

を入れています。

 

全体のGAINは約+12dbmといったところです。

 

 

 

通過特性です。

 

 

 

 

出力の様子です。

 

これを+10dbmまで増幅しなければいけません。

 

 

 

2009.04.13

 

その後、940.7MHzの出力をUPして結果として

3.9107GHzの出力も大きくしました。

 

それでも+1dbmくらいですがこれで使ってみます。

 

 

 

出来上がったものです。

 

DBMやAMPは剥き出しのままです。

5mmのアルミ板でBOXにするつもりだったのですが

このままでも問題無さそうなのでこのまま使います。

 

 

 

フルスパン 0−2.9GHz

 

2.9GHzでは約10dbm下がっています。

 

これは、MIXの実装に問題があるようです。

 

これでも、LPF・BPFの調整には使えそうです。

 

2009.04.21追記

 

その後、マニュアルを読んでいるとノーマライズ機能があること

が判りました。

 

左の画像は、2GHzのLPFをノーマライズしないでみたものです

うっすらと見えているのはスルーの特性です。

 

 

 

ノーマライズをONにしたときです。

 

この機能を使えば、少々元が悪くても大丈夫のようです。

 

 

 

 

1stLOの影響によるノイズフロアの上昇の様子です。

若干ありますが問題にはならない範囲ではと思っています。

 

問題になるようなら、アイソレータが入手出来そうなので

それを入れてみます。

 

 

 

0−2GHz

 

この範囲なら十分実用になりそうです。

 

 

 

0−1GHz

 

この間では、全くフラットといっていいようです。

 

 

 

狭い範囲ではどうかと思い、昔実験した8素子のクリスタルF

を使って確認してみました。

 

入出力のマッチングは全くしていないのでひどい特性ですが

RBW=300Hzでも問題無く使えます。

帯域外減衰量も十分取れています。

 

 

 

 

このHP8561EのRBWは、100Hz以下はディジタルフィルタ

になっています。

 

このフィルタにするとTGとしての動作をしてくれません。

 

85640A(外付けTG)のマニュアルをみてもRBWは300Hz

までと書いてあります。

 

デジタルフィルタの動作原理からしてスイープ動作は難しいよう

です。

 

 

 

そこでRBW=300Hzでどこまで見えるかと思いクリスタル

フィルタの帯域幅を狭くしてみました。

 

位相ノイズの影響で裾の付近がざわついていますが、使えそう

です。

 

ここまでみれると、BW=100HzくらいのCW用フィルタの製作

にも使えそうです。

 

 

2007.04.17

 

ケースに収納してとりあえず完成です。

 

ケースは、リサイクルSHOPで買ってきたVHS用のビデオデッキ

の中身を取り出して使いました。

文字入れがまだですが、そのうちに入れる予定です。

 

SMAコネクタ

左側 CAL入力

右側 1stLO入力

 

つまみ

左側 TrackingADJ

右側 出力ATT切替

 

全体の回路図

再現性は全く考慮していませんので定数は入れていません。

 

 

 

電源は、16V1Aのアダプタを後ろにネジ止めしています。

 

 

 

内部は2段構成にしています。

 

下側には

940.7MHz発生部

電源

出力AMP

出力ATT

が入っています。

 

出力ATTは、ヤフオクで入手した ‐10db、‐20db、‐20db

の3つのATTが入ったもので8Vの電圧をかけると働くものです。

 

0 〜 ‐50dbまでを10dbステップで設定できます。

 

 

 

上段の様子です。

 

右下の青いものが、入手したアイソレータです。

3−6GHzで20dbのアイソレーションが得られます。

 

行き当たりばったりで作ったので配線が入り乱れています。

 

MIXには、ミニサーキットの「SIM−83+」を使っています。

この内部の実装方法が悪く2GHzを超えるあたりからの

出力低下を招いています。

 

このMIXの入出力にはATT挿入が必須のようです。

入れないとSWRが悪化して波形が波打ちます。

 

 

性能には不満が残りますが、どうにか実用になるものが出来ました。

後は、この親玉である「HP8561E」が機嫌よく長生きしてくれるのを祈るばかりです。

 

参考文献

GHz時代の高周波回路設計 CQ出版社

トロイダル・コア活用百科   CQ出版社

 

戻る