50MHzで1Wの出力が出るリニアアンプを作るとなると現在では、入手出来るデバイスがあまりありません。
あってもかなり高価です。
そこで安価に入手できるデバイスで、どこまでいけるかの実験です。
まずは、比較材料ということで、2SC1971と2SC3185を使って作ってみました。
2SC1971
現在では、かなり入手困難なようです。
ただ実力は1Wクラスではもったいなく5Wクラスで使うべきではと思います。
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回路は、トロ活の中にある1Wリニアアンプの回路です。 |
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0−200Mhzのゲイン特性です。 50MHzでは、約21.5dBのゲインがあります。 (Tglevel=-20dBm) |
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1W出力時のIMDの様子です。 Vc=15V、Id=70mA 2信号は手持ちの発信機の関係で51.215Mhzと51.225Mhzno10Khz 離れを使っています。 この時の、3rdのIMDは-51dbと余裕です。 |
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IMDが-32dbになるのは、出力が1.7Wの時でした。 しかし、使用した回路が1W出力用の回路なので出力を増やしていくとインピーダンス マッチングが外れてきます。 これ以上の出力は、別の回路を用意する必要があります。 |
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今回まず実験した3種類の石の入出力特性です。 FTが高いだけあってC3950が若干ゲインが高いですが 25dBmあたりで頭打ちになります。 C3185,C1971は30dBmまでリニアです。 注1:C3950のデータは15Vのものです 注2:C3185のデータはここではゲイン20db になっていますがIMDの最良点のゲイン 15dbで使っています。 |
2SC3185
現在では、入手難のようですがパーツBOXの中にあったので使ってみました。
カタログデータによると、175MHzで1.3Wの出力が取れるとあります。
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3mm厚のアルミのコの字チャンネルにTrを裏から付けています。
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0−200Mhzのゲイン特性です。 50MHzでは、約14.5dBのゲインがあります。 (Tglevel=-20dBm) |
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1W出力時のIMDの様子です。 Vc=15V、Id=25mA この時の、3rdのIMDは-34dbです。 |
2SC3950
三洋のCRT Vout用の石です。
カタログスペックは、VCBO=30V、IC=0.5A、PC=5W(TC=25℃)、FT=2000MHz
となっています。
この石は、サトー電気で5個504円で売っています。(1個だと約100円と安価です)
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回路は、2SC1971と同じ回路です。 放熱板には、2mm厚のアルミ板の切れ端を使っています。 |
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0−200MHzのゲインの様子です。 (TGLevel=-20dbm) 50MHzでは、22.5dbのゲインがあります。 |
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VC=18Vに上げてやっと1W出せました。 VC=15Vでは、0.7W VC=12Vでは、0.5Wが限界でした。 |
2SC3950プシュプル
シングルの時、15Vで0.7W出力があるのでプシュプルにすると1W出ないかと実験してみました。
(VC=18Vは少し大げさなのでせめて15Vで使いたいのです)
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実験基盤の様子です。 この石は、足がECBの並びなので配置には苦労します。 回路は、FB801−43を使った普通のプシュプル回路 です。 |
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0−200MHzのゲインの様子です。 (TGLevel=-20dbm) 50MHzでは、20dbのゲインがあります。 シングルの時に比べてゲインが2.5db落ちています。 トランスの巻線比が、最適ではないと思われます。 |
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プシュプルでも、18Vで1W出力となりました。 IMDは、シングルの時より改善されましたが、これ以上入力を増やすと急激に悪化します。 定数をいろいろ替えていけばもう少し良くなるとは思われますが今回は1W出力が目的ですので これで終わりにします。 出力のリニアリティは、30dbm OUTまでリニアです。 |
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2SC2538(プシュプル)
この石は、三菱のRF・PA用でカタログスペックは
VCBO=40V、IC=0.4A、PC=0.7W(Ta=25℃) 175MHzで0.6Wの出力が得られるとあります。
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回路は、これまでと同じです。 コアには、秋月コアを使っています。 |
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0−200MHzのゲインの様子です。 (TGLevel=-20dbm) 50MHzでは、18.5dbのゲインがあります。 |
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1W出力時のIMDの様子です。 VC=13.5V 3rdIMDは−36dbです。 なりより13.5Vで1W出てくれるのがありがたいです。 30dbm出力まではリニア動作しています。 現在作っている50MHzSSB機のファイナルの候補になりました。 |
もう少しどうにかならないかと思い、トランスをいじってみました。
結局、入力側のトランスを1次側3t:2次側バイファイラ2tのトランスにしたときが一番いい感じでした。
出力側のトランスはトリファイラ3tでこれが一番いいようです。
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ゲインは約2db増加して20.4dbになりました。 |
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IMDも若干ですが良くなりました。 |
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高調波の様子です。 PPの特徴である偶数時の高調波が低くなっています。 1W出力時のICは160mAで、効率は46%です。 |
NEC 0502−07 2008.02.10
この石は、ヤフオクでの入手です。
FT=500MHz PC=8.75W とありました。
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パッケージは、高周波出力用によくあるタイプです。 Webで、データシートを探しましたが見つかりませんでした。 テスタで足の接続を探ってみると、先が45度に切れている端子がベースで その反対がコレクタ残り2つがエミッタでした。 (このタイプのTRは、ほとんどが切れているのがコレクタですがこれは 違いますので注意が必要です) 放熱用のネジはどこにもつながっていません。 |
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実験基板です。 回路は、これまでと一緒です。 |
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0−200MHzのゲインの様子です。 (TGLevel=-20dbm) 50MHzでは、22.8dbのゲインがあります。 |
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1W出力時のIMDの様子です。 Vc=15V、Ic=125mA この時の、3rdのIMDは−34dbです。 感じは、2SC3185に良く似ています。 |
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入出力特性です。 出力+33dbmまではリニアな特性です。 元々は、業務用無線に良く使われていたとありました。 業務用無線=FMというイメージが強くリニアアンプに使えるか と思いましたが生むが易しで使えそうです。 |